平成7年度は、日本人学習者の英語の語彙能力に関する基礎研究という質的な側面と、インターネットを経由して入手された時事英語データの語彙の計量的な分析という量的な側面の両方の研究に着手した。また、その両方の研究をまとめる形で、インターネット上で入手した「生の」英語ニュースを、日本人学習者の語彙能力に照らして教材化する方策も試み、研究課題である「インターネットを利用した教材コーパスの開発」に向けてさらに研究を推進することができた。 第1番目の質的な研究については、語彙リストのエントリ-の段階と学習者の実際の語彙の習得困難度との関係を分析し、実際の語彙習得にも段階性が観察できるものの、それが語彙リストの段階性と必ずしも一致するわけではないということなどを明らかにした。同様に上級者と初級者の語彙能力構造の比較も行い、それぞれのレベルの学習者に対してどのような語彙情報を提供すべきか検討した。そして、この成果を『言語文化論集』に発表した。 2番目の量的な側面の研究については、数年来の語彙に関する共同研究の成果に基づき、時事英語を中心とする特定分野の「独自辞書」を作成し、当該分野の語彙項目の効果的な選択と提示の方法について考察した。この成果は、「中部地区英語教育学会」において、口頭発表した。 さらに、この発表を発展させ、インターネットの「生の英語」を教授者の経験のみならず、大量のデータに基づいた、できるだけ客観的な基準に基づいて教材化するための具体的な方法について考察した。この成果は『中部地区英語教育学会紀要』に英文で掲載されている。
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