本年度の目的は、昨年度と同様、コンピュータ可読形式の教材データをインターネットを介して継続的に入手することに加え、特に (1)外国語としての英語という質的観点から、習得に必要とみなされる言語知識を特定する (2)そのような知識が、インターネットの言語データによってどの程度充足可能か評価する (3)読解テキストデータの分析から、習得困難度が高いと予測される語句を特定する の3点について研究を推進した。 (1)については、Be careful! Take care! よような一見類義の英語表現に関する学習者の誤用に注目し、(a)社会言語学的、文化的知識及び(b)適切な文形式・構造と文脈に関する知識の重要性を指摘し、それらの知識と学習における「意識化」の関連性を考察した。 (2)については、適切な文脈をともなった豊富な量の言語データに学習者自身が自由に接近するためのコンピュータベースの教材システム、すなわち教材コーパスの言語習得上の可能性を、「明示的で」「直接的な」言語知識の構造化という点を中心に、インターネット上で収集したVOA(Voice of America)の言語データを元にして検討した。(1)と(2)の研究成果は、『言語文化論集』に発表した。 (3)に関しては、効果的な第2言語習得のための教材化のモデルの提示という視点から、コーパスの語彙分析によって作成された電子辞書を付加した英語の読解教材の試作とその有効度の評価を行った。また、この成果は、『中部地区英語教育学会紀要』に発表した。
|