平成7年度は、インターネット利用のための環境整備とインターネット経由のテキストデータの収集を行った。時事英語のテキストデータを頻度などの量的観点から分析すると共に、学習者のレベル別の語彙知識の実態について調査し、教材コーパス開発のための「形式的要件」としての語彙項日の特定や提示法について研究を行った。さらに、第2言語習得支援システムとしてのインターネットの利用にあたり、主に語彙の観点から教材コーパスのプロトタイプを開発した。 平成8年度は、主として学習者の誤用という視点から、英語の習得に必要とみなされる言語知識を特定するための基礎研究を、データ収策と平行して実施した。また、そのような知識がインターネットのデータによって充足可能かどうか質的観点から分析を行い、望ましい教材のあり方を議論して教材コーパス開発のための「内容的要件」についても検討を行った。また、先年度に開発した教材コーパスのプロトタイプを試用して、語彙学習の効果について研究した。 平成7、8年度の個々の研究成果は、『言語文化論集』または「中部地区英語教育学会紀要』に発表された。 平成9年度は、教材と学習者の相互交渉という重要な視点を新しく導入して、教材コーパスのシステムとしての充実を図るための研究を開始した。具体的には、学習者の英文読解ストラテジーとコーパスを構成する電子辞書に関する実験的研究を行い、その成果をFLEAT III(第3回 外国語教育と教育工学研究大会)で発表した。しかし、この研究は被験者数の制約などから事例的であったので、今後この研究を発展させ、その成果を平成10年度に発表する予定である。
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