研究概要 |
今年度は,主としてこれまでに発表されている国内外の,コンピュータを用いた理科教材・理科教育実験を調査し,その長所と短所を多角的に検討すると共に、われわれがこれまでに培ってきた研究を基礎にして,生徒の個性に応じた実験開発を計画した。同時に,コンピュータ化される以前の特色ある実験教材について,コンピュータを活用することにより,学習効果を挙げ得る内容を検討した。そのためには,学習者である生徒が,何を望み,何を困難と感じているかを把握する必要があり,理科の授業について,中学生・高校生・大学生の意識調査を計画し、アンケート調査をして,現在整理中である。これらの結果を基に,生徒の個性を尊重した理科教育実験教材の開発,及びコンピュータ援助の教材開発を計画した。 次の論文を発表した(詳細は裏面)。(1)漸硬振子の外部励振特性とコンピュータ計測,(2)鋼球体落下のコンピュータ計測,(3)ネットワーク環境のMathematicaを用いた2次元量子力学的散乱問題,(4)理科学習における子どもの自己評価(II)-小学校第5学年および第6学年の授業を通して-,(5)パーソナルコンピュータを利用した熱現象に関する教材開発-熱伝導とブラウン運動-,(6)水平投射運動をテーマとした力学教材について。 成果の一部は,学会で口頭発表した。(1)回転に伴って輪軸の半径が変わる振子の試作とコンピュータ計測(島田),日本物理学会(1995年秋の分科会),(2)変形サイクロイド振子の試作とコンピュータ計測(島田),物理教育学会近畿支部(1995年研究集会),(3)ウィルバ-フォース振子のコンピュータ計測(島田),同上,(4)水スターリング熱機関とその数学的モデル(木立),同上。 物理教育学会・科学技術振興財団の共催による『青少年のための科学の祭典』:大阪市立科学館(7年12月),神戸市立青少年科学館(8年1月)において,コンピュータ測定,閃光記録タイマー,各種振子を演示し,教材開発の一端を広く市民に披露した。夏期,研究員による大学公開講座を続けており,小・中学校教員のためのコンピュータ入門講座と小学校教員のための工作(理科)を実施し,好評のもと多数の参加を得た。
|