本研究は次の事項を目的としてなされた。 (1)社会科授業事例データベースに蓄積されている全国の附属小学校の研究紀要等に掲載されている各社会科授業設計案を、知識獲得の視点から分類し、社会科授業実践の体系枠を理論仮説として構築する。 (2)理論仮説として構築した社会科授業実践の体系枠を、他のデータベースの授業事例による検証に基づいて修正する。 (3)修正した理論仮説としての社会科授業実践の体系枠に基づいて、わが国における社会科授業実践の傾向性を知識獲得の視点に基づいて解明する。 (4)知識獲得の視点から解明した社会科授業実践の傾向性において知識成長的授業事例を抽出し、それらの授業の構成と展開の法則を分析する。 このような研究経過において、知識の獲得内容としての価値的知識、概念的知識、事実的知識、方法的知識の4視点と知識の獲得方法として知識手段、知識習得、知識発展の3視点に基づいて社会科授業に関する体系枠を理論仮説として構築したところに本研究成果の意義を見いださせる。さらに、知識発展型の授業事例の構成と展開の規則性を解明し、わが国の社会科授業改善の具体例を明示している。
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