1、申請者がこれまで収集してきた民間説話の音声記録資料延べ6000話のうち2000話についてデジタル録音化し、検索用のカードを作成した。 2、現地調査録音記録資料について文字化を完了し、録音記録資料と対照可能な以下のテキストを刊行した。 (1)島根県飯石郡掛合町民話集(2)同八束郡美保関町民話集(3)同出雲市民話集(4)同簸川郡湖陵町民話集 3、映像記録資料として以下のVTRを編集した。(1)『牛供養・花田植』(2)『出雲市乙立町、伊藤アキコさんの語り』(3)『安来市植田町、山崎トミさんの語り』(4)『安来市大塚町、大森てるゑさんの語り』 4、下記3章を含む『語り聞かせと読み聞かせのためのふるさとの昔話教材(デジタル録音付き)』を編集した。(1)ふるさとの昔話・現地録音テキスト(2)ふるさとの昔話・語り聞かせのための昔話台本(3)指導資料・ふるさとの昔話鑑賞入門 5、映像と音声による民間説話記録の教材化のために以下の研究を行った。 (1)従来の国語教科書に見られる「民話教材」を検討し、戦前までは書き言葉による表現を抑制して「語り/聞く」活動を豊かに呼び出す形の教材化がなされていたのに、戦後は作家の再話作品をそのまま用いるようになり「民話教材」による学習が文学の読みの学習に吸収されてしまっていることを明かにした。 (2)以前は民話を「語り/聞く」生活が児童の側にも教師の側にも十分あったのでそのような教材化が可能であったが、今日ではそのような前提が失われようとしているので伝承の実際を伝える音声や映像の記録を補助資料として利用する形での教材開発の必要があることを明かにした。 (3)島根大学附属小学校昌子佳広教諭および同附属中学校佐藤安治教諭の協力を得て、民間説話記録教材を利用した授業を行い、教材としての有効性を確認した。
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