生活排水による水質汚濁、有機溶媒による地下水汚染、地下水枯渇の問題等、水問題が変化拡大しており、社会システムの構築とともにライフスタイルの変革が求められている。これまでの学校教育では、水質汚濁の実態把握やライフスタイルに関する実践報告は見られるが、全体のシステムが把握できる学習内容でないために、優先順位の逆転や矛盾を引き起こす可能性さえみられた。そこで、水問題の政策をも含め一貫した方策の実践参加能力の育成まで包含する、家庭科を中心とした「総合授業:水」の開発をめざした。 8年度は、「「総合授業:水」の学習内容構想(第1・2報)」に基づいて、中学校における「総合授業:水」の授業内容をまとめた。具体的には、水質汚濁の測定と自然科学的な対策の原理-どのくらい汚れているか、どうすればよいか-等を学習目標にして、学習項目「I.水質汚濁と下水処理」では、川がどのくらい汚れているかのフィールドワーク、水質基準と下水処理について取り上げた。「II.おいしい水-硬水・軟水」では、水浄化の原理を把握した上で、上水処理と飲み水の水質基準を知り、消費行動の社会的責任を考えるようにした。「III.水循環と利用システム」では、歴史的事例を通して合理的な水との関わり方を把握し、自然界の水循環や森林との関わり方を考えさせ、「IV.生活者としての対策」では、抜本策の自然科学的な原理を知り、生活の科学的見直しをはかるようにした。
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