本研究は、教師の多様な問題関心に対応でき、授業に利用可能な地域学習情報のマルチメディアデータベース(マルチメディア教材ソフト)の開発を目的とする。具体的には、長崎の特性を活かした「歴史編」と「社会編」の2部門からなるデータベースを構想した。本年度は、前年度に情報収集を行った入力項目に一部修正を加え、それぞれのデータベースを教材ソフトとして完成させた。その概要は以下の通りである。 1)前年度に決定した入力項目を、入手資料の性格から次のように統合・修正した。すなわち、「歴史編」ではシ-ボルトに焦点化した「長崎街道」、種々の生活文化と史跡を統合した「長崎史跡案内」、「社会編」では「坂と交通」に代え「長崎原爆」を追加した。 2)各項目の入手データに基づき、適切なリンク形式を検討しつつ教材ソフト化した。採用したリンク形式は、データの階層性から垂直的リンクが多いが、それも目次形式、マップ形式等多彩な形式を採った。しかし、全般を通じて、情報検索過程を固定する直線的リンクは極力採用せず、自由な検索が出来るよう配置した。最終的に、本研究では「長崎街道」「同Ver.2」「長崎ぶらぶら〜史跡めぐり編〜」「長崎の水環境〜上水道編〜」「同〜下水道編〜」「長崎市の水産業資料集」「長崎原爆資料集」の計7本の教材ソフトが完成した。 3)完成した教材ソフトの小中学校での利用は、実行環境の不一致のため実現しなかった。それで、一部ソフトを地域資料館等の社会教育施設に公開展示し、一般の利用に供した。その結果、対応機種を越えた常時の利用を望む声が高まり、一部ソフトについてそのインターネット版を作成し、ホームページとして発信した。
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