本研究は、教師の多様な問題関心に対応でき、授業に利用可能な地域学習情報のマルチメディアデータベース(マルチメディア教材ソフト)の開発を目的とする。具体的には、長崎の特性を生かした「歴史編」と「社会編」の2部門からなるデータベースを構想し、合計7本の教材ソフトを完成させた。その概要は以下の通りである。 1)歴史編 歴史編は、「長崎街道」「同Ver.2」「長崎ぶらぶら-長崎史跡案内-」「長崎原爆資料集」の4本の歴史学習ソフトウェアからなる。「長崎街道」は、西洋文化、中国文化、日本文化が融合した長崎の生活文化を、市民生活の観点から紹介するものである。「同Ver.2」は、シ-ボルトの江戸参府を題材に街道沿線の今昔を比較すし、併せて地場産業の発展の様子を学習できるように設計されている。「長崎ぶらぶら」は、長崎市内に多数存在する史跡(例えば、おくんちで有名な諏訪神社)を、写真と音声を多用して紹介するものである。「長崎原爆資料集」は、長崎市に原子爆弾が投下された経緯や被害など総合的に学習できるよう配慮してあり、地域の平和学習の教材としても利用可能である。 2)社会編 社会編は、「長崎の水環境-上水道編-」「同-下水道編-」「長崎市の水産業資料集」の3本のソフトからなる。「長崎の水環境-上水道編-」は、長崎市の上水道事業の歴史、仕組み、関係統計資料などをまとめたものである。「同-下水道編-」は、下水道事業に関するそれらの情報に加え、環境教育の観点から人間と水の関わりについての内容も付加してある。「長崎市の水産業資料集」は、沿岸漁業から栽培漁業まで多岐に渡る長崎市の水産業についての総合的資料集である。 以上の、教材ソフトは実行システムの不一致から地域の学校では使用できなかったが、一部についてはそのインターネット版を作成し、広く利用されるよう努めている。
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