研究概要 |
実習教育において,学生の関心は,栽培試験区を設け,各区の生育調査や収量調査を行わせることによって,高めることができることが分かった。また,コンピュータの普及に対応して独自に開発したコンピュータ利用による気象観測システムを用いて実習を行い,教育効果を上げつつある。今後,これら二つの事例を融合して実習を行えば,さらに教育効果が増すものと期待できる。そこで,この観点から栽培実習教育の現場で使用可能なコンピュータによる環境計測のためのシステムの開発を進めた。 コンピュータによる環境計測システムは,ノートパソコンPC9801NS/Aを用い,A/D変換器によりセンサからの信号をコンピュータに入力する。センサはサーミスタ(温度),抵抗変化型湿度センサ,フォトダイオード(光)を用いた。環境要素の計測は新たに風向,風速,雨量および気圧を加えることにし,パーソナル気象台(エ-オ-アール)を採用した。そして,この基本性能について現有の気象観測装置などにより比較検討を行った結果,このシステムは実用的な環境計測に利用できるものと考えられた。また,気象情報収集のために文字放送受信ユニットの導入についても検討した。さらに,栽培圃場でセンサおよび受信ユニットの情報を出力するためのモニタシステムは17インチCRTと7セグメントLEDにより構成する方法について検討した。このシステムのソフトウエアについては現在検討を進めつつある。なお,栽培環境の計測は長期にわたって行えることが要求されるため,停電対策を必要とする。これに関しては,商用電源の利用と比較して安価な,自然エネルギー利用による独立電源システムを風力発電機,太陽電池および鉛蓄電池により構成する方法をみいだした。また,これまでの実習教育の経験を踏まえて,本システムを有意義な形で栽培に融合させるための実習教育方法についても検討を重ねた。
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