研究概要 |
本研究は,高校と大学の情報教育を対象として,情意領域の評価を中心に,クラスター分析で評価の妥当性を確認し因子分析による評価を比較検討した後,ファジイ分析(ファジイ測度とメンバーシップ関数)を用いた分析を行った。 【情報教育の因子分析】S評価(生徒自身の評価)では,第1因子「技能熟練」,第2因子「技能の確認」,第3因子「学習の心構え」を示し,T_1評価(教師の教授行動の評価)では,第1因子「理論と実習の確認指導」,第2因子「学習の心構え」,第3因子「技能向上指導」を示し,T_2評価(教師の一般教授行動の評価)では,第1因子「意欲的取り組みの指導」,第2因子「信頼関係の育成」,第3因子「生徒の能力を考慮した実習指導」を示した。 【情意領域のファジイ分析】ほとんどのメンバーシップ関数値は0.7以上で,各因子と比較すると,第1因子「知識・理解・技能」のメンバーシップ関数の平均は0.7,第2因子「態度」のメンバーシップ関数の平均は0.8,第3因子「興味・関心・意欲」のメンバーシップ関数の平均は0.9となり、第1因子,第2因子,第3因子の順にメンバーシップ関数値が高くなっている。 【本年度のまとめ】ファジイ分析(メンバーシップ関数)による評価では,学力定着は,特に生徒の意欲と興味・関心という情意面が教師の熱意と指導力に,深く関係していることを示した。また,学力定着に必要な授業の要素とは,熱意と指導力(信頼)であり,具体的には,「教科内容の段階化」「教科内容への目的意識・意欲」「専門内容の平易な教授と指導」などである。 つまり,ファジイ分析と従来のクラスター・因子分析では,情報技術教育の学力向上に必要なこととして,情意領域の中で特に前者では「態度」という「情意面」が,後者では「興味・関心・意欲」があげられ,その上で「知識・理解」という「知性面」が構成されていると考えられる。 本中間報告は,生徒の学力向上は人間的接触・実技指導・理論的指導といった具体的な教科指導力に影響し,またファジイ分析と、クラスター分析,因子分析を比較するところによれば,学力の定着と意欲,興味・関心という情意面が教師の指導力と共に関係していることを明確にするものである。
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