本研究の目的は、高専卒業生の多くが卒業後に就職する工業系企業の日本人技術者で、海外(英語圏)で勤務する者における英語の弱点領域を調査し、高専における英語教育の方法およびその効率を改善することにある。従って、アンケート方式により工業関係の企業に属する日本および海外(英語圏)在住の日本人技術者における英語の弱点領域を調査すること、および高専の英語教官による研究会を開催してアンケートの分析結果に関する検討を行うことが研究の中心となった。 平成7年度には日本国内の工業関係企業107社およびそれらの海外(英語圏)における支社にアンケートを実施し、日本人技術者の英語力および英語やその国の文化のどのような領域に強くまた弱いかを調査した。アンケート結果の集計・分析の後その中間報告を基に、平成8年度には、全国の高専の英語担当教官に呼びかけて「高専における英語教育の将来像」と題する研究会を開催した。また、アンケートの分析から英語能力を評価する基準が一定でないための片寄りが見受けられたことにより、それを平準化するために海外企業の日本人技術者に対して簡単なリスニング・テストを依頼した。 このリスニング・テストおよび研究会での検討の結果を含めた最終的なアンケート調査結果の分析および考察は、本報告書「7 アンケート調査報告」に詳述されている。更に、リスニング・テストに関しては付帯論文「Getting to the Root of the Language Problem」を、アンケートに関しては同じく付帯論文「海外勤務日本人技術者の英語能力」をもそれぞれ参照されたい。また、研究会に関しては、講演講師およびシンポジウムでの提題者の「募集要項」、研究会への参加を呼びかけた「開催要項」、および研究会での討議試料としての「発表要旨」を以て、その報告とする。
|