高校教育の改革が進められている中で、現行の学習指導要領に示された個性を生かす教育の充実の観点から、生徒の多様な進路に対応した教育課程の編成が望まれ、すでに総合学科をはじめとする様々な取り組みがなされ、専門高校においても同様である。しかし、専門高校においては、『職業教育の活性化方策に関する調査研究会議最終報告』に述べられているように、「将来のスペシャリストとして必要とされる専門性の基礎的・基本的な教育に重点を置く必要」があり、専門教科を始め、普通教科の扱いや指導内容を含めた総合的な教育課程の検討が今後の課題となろう。 こうした視点から、専門高校における教育課程編成の現状と課題を明らかにするため、全国の農業、工業、商業に関する学科を持つ専門高校を対象に質問紙調査を実施し、次のような結果を得た。 平成6年度から実施された各校における教育課程編成の特色は、生徒の多様な進路に対応したコース制の導入、選択科目の拡大、総履修単位数の減少と普通教科の単位数の増大傾向、並びに職業資格の取得などであり、極めて多様な、生徒の進学も意識した教育課程の編成になっている点である。しかし、これらの特色は、選択科目の拡大に伴う教育内容の細分化、教員の負担の増大、担当教員や施設・設備の不足、各専門学科の目標の達成困難、生徒の学習意欲の減退、生徒の進路と各学科の目標との乖離、など多くの問題点も認められた。また、普通教科の学習については、一般教養の修得や専門科目の基礎との理由で、その必要性を認めると同時に、生徒の基礎学力の不足や普通科と同じ教育内容からくる様々な問題点も指摘された。今後、これらの課題に答え、専門高校に求められる基礎・基本の充実を図るため、専門教科と普通教科を中心とした教科構成の見直しを始め、これらの教科における指導内容の検討が必要であろう。
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