平成7年度より9年度にわたる資料・先行研究・茨城県下の面接調査の結果、当研究の目的「海外における年少者言語教育研究・日本における帰国子女教育研究の蓄積の結果提出されたCumminsの相互依存の仮説および小野の小学校時代1言語の仮説が、日本的条件下で学習する外国人年少者の諸ケースでどのように妥当しているか、また妥当していない部分についてどのような新たな検討すべき要因があるかを明らかにすること」に関して、両仮説が前提として取り上げた要因群の中に含まれていない(従って海外言語教育研究・帰国子女教育研究では取り上げられて来なかった)「1.日本人教師の外国人年少者の受け入れ観、日本語・母語教育観」および「2.外国人年少者の父母の日本語・日本社会に対する姿勢、母語・日本語の必要観」の2要因が日本の条件下における年少者言語習得・保持に高い影響度を持つことが示された。 以上に基づき、本研究では前者の要因に焦点を当て、これらの教師の持つ言語教育観、またそれらに影響を与える教師・学校の属性それぞれの特色に関わる調査を当研究の一環としてなされた諸ケーススタディを踏まえ、日本語教育を必要とする外国人小中学生の日本語教育担当教師及びクラス担任に対し質問紙調査を実施し、重回帰、クラスター、分散の各分析により分析。考察した。その結果、日本的条件下の教師の言語教育観は、全体として「継続的二言語併行型」を示し、同時に「少数散在型」、「受容型」、「短期滞在注目型」、「滞在エンジョイ型」、「現行制度枠内型」の特徴を示し、属性では「指導した外国人年少者数」、「父母との懇談経験」、「外国人年少者指導研修経験」が大きな影響度を持つことが明らかにされた。
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