多様な背景を持つ日本語学習者に対し、日本語の文法や語彙の理解において情報を視覚的に受容した場合と聴覚的に受容した場合による差違についての研究を実証的に行った。 文法問題および語彙問題を視覚および聴覚により呈示する方法による問題を作成し、計300名の外国人留学生に対し実施した。また同時にそれ以外の外的基準となるテストも実施し比較検討した。 日本語においては視覚的な情報の果たす役割が大きく、表記体型の複雑さや漢字の存在が日本語学習上の一つのネックとなっているが、母語と日本語力との関係についてみると、同じ漢字圏であっても朝鮮語と中国語の学習者間に大きな違いが見られるなどの成果を得た。その他の国、地域については現在さらにデータを収集しているところである。 研究成果は学会発表(日本科学教育学会、日本語教育学会)において報告を行った。 また、実際の運用力を含むプレースメントテストはテストの経済性の面での問題が大きいが、聴覚を通して処理させる文法テストや語彙テストにより日本語運用力を測定するテストとしての利用の可能性が大きいと考えられ、今後はこの方向での研究を進めたいと考えている。
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