I.電子メール利用日本語通信教育の手順 1.海外の日本語学習者が作文を書き、ペアを組んでいる筑波大学教師養成過程の学生に電子メールとして送信する。2.学生はオリジナル作文、添削済み作文、解説、個人的な手紙(主題に関する意見を含む)をプロジェクト用アドレスに送る。3.教官が添削部分をチェック後、海外の学習者、教師、加筆した場合には学生に返送する。 II.成果 1.学習者側では学習意欲の向上、日本人学生との接触の機会の増加、日本語ワープロ技術の習得などの点で評価されている。2.学生側では日本語学習上の問題点の理解、異文化接触による視野の広まり、「教える」という責任に伴う諸事項の自覚、コンピュータ操作の習得などが本プロジェクト参加の意義として指摘されている。メール交換の影響は日本語教育実習での学習者のレベルの的確な把握の他に、卒業論文の主題選択に表れ、作文力を取り扱った論文を書く学生が多かった。3.特にテレビ会議は双方の学習意欲を高めるのに効果があった。4.学習者及び学生が中心となって活動し、教師は側面から技術的操作を支援するのみである点がこの手法の大きな特色である。 III.実施のための提案 1.文字化けを避けるためには半角文字、中黒、長い行は使わないようにする。2.正規授業への組み込みには交換相手をうまく組み合わせ、国際間の学期のずれを効果的に利用する。3.送信から返送までの時間の短縮は学習意欲向上に直接影響する。4.メール交換の作文を何通程度にするか、評価の対象にするかなどクラス管理上の見通しを明確に学習者に理解させておく。5.テレビ会議には第3者が入り込まないよう配慮する。
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