研究概要 |
平成7、8年度を通じた研究実績は以下の通り。 所期の第一の目標は、専門科目教員と日本語教員の共同によって、大学院電気電子工学系留学生のための「専門日本語読解教材」を作成することであった。この目標は達成された。回路工学、バイオエレクトロニクス等4分野にわたり、本文、語彙リスト、日本語練習問題からなる、総頁数71頁の読解教材として結実した。また教材作成・授業実践の過程で4本の口頭発表を行い、論文1本を発表し、最終の『研究成果報告書』を公表する。 同時に次のような知見を得るに至っている。 1,「専門日本語における専門教員と日本語教員との関係・役割分担」については一定のコンセンサスが形成されつつある。すなわち、日本語教員の役割は「専門用語の読み、漢字、および専門分野特有の文型、表現、言い回し等の抽出、分析、解説」であり、一方専門教員のそれは「専門読解のための適切なる教材の執筆あるいは選定。また、高度に専門的、抽象的な内容を講義し、かつ日本語による質疑応答等を通して学習者の内容理解をはかり、もって専門日本語の習得(定着)につなげること」である。 2,専門教官が認識する「専門用語」と日本語教官が認識するそれとの間にはギャップがあることが教材作成の過程で明らかとなった。また、「電気電子工学」といっても、大学院レベルでは研究領域は極度に細分化されていることも判明しており、上記の点を考慮に入れての『分野別専門用語集』の作成が、科学技術日本語教育を前進させる上で、緊急の課題であることも認識された。
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