近年、日本語を話すことのできない外国人児童・生徒が急増し、その子たちの日本語指導について、教育現場では混乱が起こっている。来日時の年齢や日本語のレベルに差が大きく、一斉指導ではできない。主として、取り出し教育がなされているが、手さぐりの状態である。 本研究では、まず、外国人児童・生徒の多い地区で、実際の教育現場でどのような指導が行われているかの実態的な把握を行った。訪問した学校は、児童・生徒を多く受け入れているところが多く、これまで教師やボランティアの人たちによって、教材が集められ、実践的な教育が行われていた。また、カリキュラムは、これまでの日本での数少ないESLの実践をもとに教師たち自身が作成しながら使用している状態であった。文部省の「にほんごを まなぼう」の指導書が基となっているが、実際の使用やカリキュラムの構築には苦労が多い。 この点を考慮し、まず、教材の収集や実際の取り出し教育で使われている資料の分析と、一週間、あるいは一年間のカリキュラム作成について分析し、これからの日本語教育に実際の指導方法についてある方向づけが得られた。と同時に、これらの国際理解教育についての示唆が得られた。
|