平成元年以降、日本語を母語としない子どもの外国人児童・生徒が増加し、その子たちの日本語指導について、学校現場では混乱が生じている。来日時の年齢や日本語のレベルに相当の差があり一斉指導では対処できない。多くの学校では、取り出し教育やボランティアの人達の協力によって手さぐりの状態である。 本研究は、実際に外国人児童・生徒を受け入れている学校の現場でどのような日本語教育が行なわれているかの実態を探ることを手始めに、実際にどのようなカリキュラムのもので、どのような教材を使って教育が行われているかを調べた。そして、それぞれの学校で、子どもたちが日本の学校や社会に適応できるための指導が行われているし、教材なども学校独自に作ったり、教師が自分の経験をもとにして作っている。特に、文部省の「にほんごをまなぼう」の指導書を基礎にして、学校ごとに特色を出そうとしている姿があった。今後の実践指導に役立った。 外国人児童・生徒はいずれも母国に帰るが、日本にいる間は日本語で学び、生活する。しかし、同時に帰国後のことも配慮する必要があり、そのためのカリキュラムは、日本の国際理解教育を考える上で、貴重なものであることの示唆が得られた。
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