研究概要 |
RDA手法の一般化の理論的研究と応用性評価の研究を行い、総合討論の結果を報告書に作成した。 1.RDA手法の一般化の研究については、相関係数行列が準退化した場合に、RDA手法の一般化を行い、QRDA手法として完成した。この分析機能の拡張を、前年度に構築した計算機システムの上に実現した。また変数選択を可能にする手段を見い出したが、今後に実用化する予定である。新手法を評価するために、人工データに基づいて数値実験を行った。統計学的に検討した結果、新手法が実用性をもつことを確かめた。この成果は投稿中である。 2.悪臭の官能評価データの分析にRDAが有用であるという前年度の知見に基づいて、QRDA手法を適用した。新手法は尺度混在データの情報を活用するので、極めて効果的に分析を行い、明瞭な知見を得た。悪臭の官能評価は主として,不快性と刺激性に依存し、硫化物,酸類、アミン類を示す官能基が不快性に寄与し、酸類が刺激性に寄与することがわかった.これよりQRDAの有用性が実証された. 3.教育評価へのRDAの応用研究として、高校調査書と共通試験の関連性について、前年度よりも調査対象(大学)を拡げて研究した結果、前年度の知見に加わる有用な成果を得た。この成果を応用統計学に投稿し出版された。 4.ガードルの着用感が、その素材物性に依存する従属関係を、前年度に継続してRDAにより分析した。今年度は、説明変数群の退化条件を直接的に組み込んで分析した結果、着用上の心理的な拘束感は、物理的に布地のパワーに依存し、またなめらかな着用感は、物理的に布地の触感に依存することを見い出した。この成果は、第24回行動計量学会大会に発表した。 5.老人精神科の臨床データの原資料から統計的分析が適用可能なデータファイルを作成する作業を行ったが、原資料に内在する諸問題を是正するために、多大の時日を要した。これは今後、RDA手法による分析に資するものである。
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