本研究の目的は、多変量尺度混在データにおける情報縮約をおこなうための潜在構造モデルに、各種の事前情報をベイズ事前分布を用いて付与するための、モデルおよびその操作プログラムを開発することである。 平成7年度には、以下の研究を行った。 1.データ解析に用いられる基本的なデータ構造、すなわちベクトル・行列・関係表・離散カテゴリーを操作するためのPrologによる基本述語のライブラリを開発した。 2.変数間のグラフ構造によって定義される相互関係を操作するための概念(基本隣接集合)、およびこれによって定義される変数集合を操作するためのProlog述語群を開発した。基本隣接集合の概念を利用すると、非標準的な時系列データおよび空間データの表現、カテゴリーの階層的分類関係、局所回帰のための近接構造の記述などを柔軟に行える。 3.複数の超パラメータを分散に持つ線形ベイズモデルの推定プログラムを開発した。これにより、多くの平滑化問題をベイズ推定により扱えるようになった。 潜在構造モデルにおけるベイズ推定法の開発は、平成7年度内には実現できなかったが、かなりの部分線形モデルにおける推定法を援用できるので、平成8年度内に、これを実現しうると考えている。
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