研究概要 |
実験・調査データの電子的蓄積とあいまって、複雑な概念を表現しうる統計モデルへの需要が高まりつつある。共分散構造分析、グラフィカル対数線形モデル、制約付き主成分分析などは、これらの要求を踏まえた統計的分析手法である。本研究では、これらの手法で表現される統計モデルと比較して、対象分野の事前情報や分析者事前知識をより柔軟に表現しうる方法の開発を行っている。 平成8年度に行った研究内容はつぎの通りである。 ・ベイズモデルを用いることにより、カテゴリーないし変数間における半順序・ネットワーク状の隣接関係を表現する手法を開発し、PROLOG言語を用いたモデル操作プログラムを開発した。 ・変数間の相互影響関係を、有向非巡回グラフ(DAG)を用いて表現するとき、同値モデル(異なるグラフが同一の分布族を定義すること)の問題が重大である。Verma & Pearl (1990), Spirtes, Glymour & Schines (1993)らの成果を元に、同値モデル族の決定を自動的におこなうプログラムを開発した。 ・DAGによって定義される変数間の関係を、非線形なものに拡張するための準備として、非線形の次元縮約法を開発し、また尺度最適化をともなう主成分分析法の解の安定性について検討を加えた。
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