本研究の目的は、多変量尺度混在データにおける潜在構造のベイズ推定法、特に多様な事前情報を利用するためのモデルとその操作プログラムを開発することであった。 当該研究期間において、つぎのような成果を上げた。 1.データ解析に用いられる基本的なデータ構造、すなわちベクトル・行列・関係表および離散カテゴリーを操作するための述語群をPrologオブジェクトシステム上で開発した。 2.変数間の隣接構造をモデル推定に利用するための枠組みを、既存のモデルを拡張することにより実現し、またそのモデル操作を柔軟におこなうためのプログラムを開発した。 3.変数間の影響関係をあらわすベイズネットワークの構造と、それに従う統計モデルの性質についての知見をまとめ、プログラムとして実装した。特に、統計的同値性関係による有向非巡回グラフの種別プログラムを開発し、6変数までのモデルの完全な分類をおこなった。 記号処理言語を用いてベイズ制約の表現と操作を実現するという、当初の目的の一つは達成することができたが、尺度混在データの次元縮約のモデルについては、十分な完成を実現できなかった。この点については、今後の研究課題となる。
|