本研究では、対散布図(散布図行列)において動きを利用する「動的な対散布図」をワークステーションおよびパーソナルコンピュータ上で実現することを第一の目的とした。さらに、データ解析用システムであるXLISP-STATと本システムを結合させることにより、一層汎用性の高いシステムとすることを第二の目的とした。研究結果として、以下の3点が挙げられる。 ・「動的な対散布図」をプログラム言語Cにより作成し、ワークステーション上に実装した。 ・「動的な対散布図」をXLISP-STAT上に移植した。これにより、ワークステーションおよびパーソナルコンピュータで利用可能になった。 ・XLISP-STATにおける「動的な対散布図」にデータリンク機能を付加し、他のデータ解析手法との結合を容易にした。 さらに、「動的な対散布図」を利用した射影追跡法の拡張についての可能性を検討した。従来、多次元データを2次元空間に射影することを想定して、射影追跡の多くの研究が発表されてきたが、「動的な対散布図」により3次元以上の空間への射影が利用できるようになった。この拡張により、多様なデータ構造を検出できるようになる。詳細な検討は今後の課題としたい。
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