相関歩を特徴づけるジャンプパラメータから構成された空間上に、情報幾何学の手法で計量と接続を導入した。これらの幾何学的対象は一般にステップ時間Nの関数でもある。そして、パラメータ空間の曲率の時間発展と系の安定性等の物理的特性との関係を研究した。1次元格子上の2つの相関歩モデルを主に調べた。1つは停留状態のない相関歩(モデルA)で、パラメータ空間は2次元である。もう1つは停留状態のある対称な相関歩(モデルB)で、パラメータ空間は3次元である。3次元空間を滞在確率パラメータによって2次元の層に分け、各層の曲率の時間発展と漸近的特性を調べた。両モデルのRiemannスカラー曲率Rの動特性は、系の安定性、ステップ間の相間度、ステップ活動度と関係することを示した。ステップ時間N→∞では、いずれも一様空間に収束した。極限のR値の相違は系の安定性と経路の規則性を反映した。特に、モデルBのRは量子気体のRに極めてよく似た特性をもつことを注意した。α曲率も調べた。α=1曲率はゼロに収束した。この特性は、熱力学系を含むもっと広い平衡系に普遍的な性質かもしれないことを示唆した。また、時間発展するパラメータ空間は重量のNewton-Cartan理論に非常によく似た構造を持つことを示した。さらに、安定性等の観点から興味深い新しい確率過程モデルを構築した。1つは、内部状態の変化する物体の複雑な運動を支配する確率過程方程式を、動物行動の考察から提案した。2つめは、いわゆる粘弾性物質を無数つなぎあわせた仮想的な複雑な粘弾性物質の応答関数に基づいた不規則現象のモデルを構築した。さらに、もっと複雑な粘弾性物質を構成する方法を提示して、それはこれまで知られていたスローダイナミックスより更に遅いスパースローダイミナックスに従うことを見出した。これらのモデルを特徴づけるパラメータの空間を調べることは将来の課題とした。
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