研究概要 |
平成7年度は放射線発がんに焦点を当てて発がんの数理モデルの研究を行った。 大瀧は下記に示すような“Pre-mutation"-Mutation仮説を導入し,発がんの数理モデルの構築を行い各種観察データへの当てはめを試みた。 “Pre-mutation"-Mutation仮説 A1.放射線は各標的細胞に対して“Pre-mutation"を確率的に生起させる。 A2.Mutationは“Pre-mutation"した細胞においてのみ生じ、その頻度は放射線曝露量に依存しない。 A3.各細胞の“Pre-mutation"およびMutationの発生過程はそれぞれ独立に進行する。 A4.ある条件のもとで“Pre-mutation"は次世代へ継承される。 本モデルに基づく解析により、原爆被爆者におけるがん罹患率データやマウスのX線ないしガンマ線照射による継世代発がんデータがほぼ説明できることを得た。 丹羽らは、放射線曝露による細胞のがん化が細胞の持つ遺伝的不安定性が増大することに起因するという仮説を支持する立場からその妥当性を動物実験を通じ検証した。梯はがんの検診頻度と罹患の関連について研究した。
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