本研究は2年継続で行なわれており、平成7年度はその第1年度である。 平成7年度においては、代替法学会が組織しているバリデーション研究で生じた統計学的問題に関して、まず50%影響量ED_<50>を推定するための新しい方法を提案し、そのためのソフトウエアをSAS言語上で作成した。これは代替法に限らず、一般の毒性評価のためにも使われることとなっている。 次に、バリデーション研究で集められたデータのクリーニング規準を統計学的視点に基づいて作成し、それを実際のデータのスクリーニングと修正に適用した。結果としてこれらは、代替法のバリデーションにとってたいへん有効であることが分かった。 バリデーション研究では、クリーニング後のデータで、代替法の性能比較を行うことが必要である。そこで性能評価のための指標として、どのような統計量が適切であるか研究し、結果として分離性能評価指標を新たに作成した。これは施設間差をヒンジ幅で評価し、物質の刺激性を各物質の中央値の最大値と最小値の差で評価し、その比を各試験法の分離性能の指標とするものである。この指標に基づいて現実のデータを評価すると、CV法が最も良い代替法ということになるが、これは代替法の専門家にも認められるものであった。 以上の研究成果は、1995年11月29日に京都で開かれた日本代替法学会で発表された。現在はその結果を英文論文として投稿準備中である。
|