研究概要 |
本研究は、半定値計画法に基づく高性能近似アルゴリズムの最近の研究動向を研究調査し,半定値計画法の可能性および限界を分類・整理・検討し、それに基づいて、高性能近似アルゴリズムを提案し、その性能と計算量を理論的に解析する同時にその限界を解明することを目的としている。目的を達成するため、本年度まずネットワーク問題の代表的問題である最大カット問題、最適クラスタリング問題、充足化可能性最大化問題に対して、半定値計画法および凸計画法に基づく高性能近似アルゴリズムの最近法を組み合わせた方法が、極めて有効であることを発見し、従来の性能比をさらに向上させる近似アルゴリズムを得た。また、その性能を実際的観点からも評価するため、プログラム化し、計算機比較実験を実行中である。さらに、関連する離散問題に対しても、情報の構造を最大限に活用し、半定値計画法および凸計画法を組み合わせた方法に基づいて、逐次的なアルゴリズムおよび効率的並列アルゴリズムの研究開発を行った。もちろん逐次アルゴリズムについては理論的解析だけではなく、従来の手法が存在するときにはそれも含めて計算機比較実験をし、それを通して提案するアルゴリズムの実際的性能を評価・検討することが大切であるので、それも現在実行中である。 世界的には欧米のアルゴリズム理論の研究者が,集中的にこの半定値計画法に基づいた高性能近似アルゴリズムの研究を遂行していて、重要な論文が最新の国際会議のプロシ-ディングに掲載されることが多いので、海外の研究者との情報交換も積極的に行い精力的に研究を進めてきた。また、本研究を通して得られた成果を、情報処理学会のアルゴリズム研究会報告およびInternational Symposium on Algorithms and Computation,Journal of Computer and System Sciencesに発表している。
|