研究概要 |
組織の知的活動を対象とする「知識知能」(人間知能と機械知能との交絡集積体)研究において,人間の経験に基づく直観,或いは,暗黙知がいかに計算機と協同して知的活動を行うことができるかを明らかすることを目的に研究を進めている.本年度は,人間の直観(暗黙知)と計算機の形式知とのインタラクションの第1次モデルとして,人間の視点を転換させる指示を計算機が与えるというプログラムを作成した.その,有効性を確認するために,実際の企業の研究管理者28人に対して,研究マネジメント知識ベースの検索支援という環境下における実験を行った. その結果次のような知見等が得られた. 1.計算機からの視点転換(立場の転換,関心事の転換)指示を与えると,研究管理者はより多くの検索語を想起できた. 2.検索領域に関して経験のある研究管理者は視点転換指示によって想起する検索語の数量が増加し,経験のない管理者は想起する検索語の種類(領域)が増加した. 3.計算機からの視点転換指示によって,今まで考えてたことのない新しい検索語は想起されなっかたことより視点は経験的知識の再構成に関与していることが示唆された. 以上等から,視点転換というアプローチで人間の直観と計算機とのインタラクションを研究できる見通しが得られた.
|