研究概要 |
組織の知的活動を対象とする「組織知能」(人間知能と機械知能との交絡集積体)研究において,人間の経験に基づく直観,或いは,暗黙知がいかに計算機と協同して知的活動を行うことができるかを明らかすることを目的に研究を進めている.本年度は,昨年(平成8年)度に開発した人間の暗黙知と計算機の形式知とのインタラクションを行わせる計算機プログラム,即ち,人間の視点を転換させる指示を計算機が与えるという方式のプログラム用いた認知科学実験結果の分析を行い,本方式の有効性を確認した. 本方式は,組織知能を構成する計算機が提示する「外的制約としての視点」によって人間の内的視点を転換させるものである.このような計算機による「外的制約としての視点」の転換の指示が様々な効果をもたらしていることが実際に示された.視点の転換の指示があると, ・人間の思考の範囲がひろがること, ・種々の異なった立場や関心事から思考出来ること, ・経験的知識を有効活用できること などが明らかになった.これにより,「外的制約としての視点」を基にして,人間知能と機械知能との交絡集積体である組織知能を設計できるとこの見通しが得られた.
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