研究概要 |
本年度は音声の超分節的特徴である,基本周波数の変化,振幅の変化,音声の継続時間の変化及び意味や文脈等の言語情報を音声対話システムで利用し,より使いやすい対話システムを構築する方法を検討した。その結果,現在構築中の3種類の音声対話システム(窓口案内,自由会話,機械への命令)の性能を向上できている。具体的な研究成果は下記の様なものである。 1.超分節的特徴の利用により,発話中の単語間の係り受けの関係がより明確に抽出できるようになり,発話の理解が正確になった。 2.発話中にある代名詞の内,先行詞が明確なものについては,文脈情報等の利用により,指示詞の内容を理解できる様になった。そのため,人間と機械の対話で代名詞の使用が可能になり,より円滑な対話ができる様になった。 3.対話中の話題を抽出して,発話内容の理解を助ける手法については,現在研究を継続中であるが,ラジオのニュース中の話題の分類等はかなり正確にできるようになってきた。 4.超分節的特徴である,基本周波数,振幅の変化,継続時間の制御によって,「怒り,悲しみ」等の感情を含んだ応答音声の生成が可能になった。 5.超分節的特徴と言語情報の特徴(倒置表現,代用詞使用等)を利用することにより,強調表現を含んだ応答文を生成できる様になった。 6.重文,複文内の照応表現を処理できる手法を考案したので,より柔軟な応答音声を生成できる様になった。
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