(1)隠れマルコフモデルを用いた音声認識プログラムの開発 昨年度に開発した隠れマルコフモデル(HMM)に基づく音響モデルを用いて、フレーム(時間)同期One-Pass型の音声認識プログラムを開発した。この音声認識プログラムは、言語モデルとして、有限オートマトンあるいは文脈自由文法が使用可能である。 (2)双方向探索に基づく音声認識プログラムの開発 上記で開発した音声認識プログラムをもとに、双方向探索に基づく音声認識プログラムを試作した。双方向探索では、前向き探索で得られる認識仮説と後向き探索で得られる認識仮説の2つを組み合わせることにより、入力音声全体に対する認識仮説を構成するが、本プログラムでは後ろ向き探索時には有限オートマトンを、また前向き探索時には有限オートマトンあるいは文脈自由文法が使用可能であるように設計した。 (3)双方向探索に基づく音声認識の評価 ATR研究用日本語音声データベース中の文節音声データを用いて、(2)で試作した音声認識プログラムの評価実験を行った。前向き探索時に有限オートマトンを用いた場合の文節認識率84.7%(ビーム幅100の場合)に対して、前向き探索時に文脈自由文法を用いた場合には88.6%の認識率を達成することができた。
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