研究概要 |
前年度の研究成果に基づき,本年度は以下の研究課題に取り組んだ。 1.対話支援型問題解決過程における知識獲得方式の検討 初等数学の具体的な問題を解決する過程で作成され,実行されたコマンド系列はインスタンススレ-ムとして保存される。蓄積されたフレーム群中のパラメータスロットの類似性に着目して,個々のコマンドのパラメータの制約条件を一般化する方法,ならびにコマンドの共起関係や実行順序などに着目して,問題解決過程を問題解決フレームとしてまとめる方法について検討した。 2.対話支援型問題解決過程における発話とジェスチャの協調理解 教師が机上のテキスト上でペンを使って行ったジェスチャ(指示操作や描画操作)はペン先の移動軌跡として表現される。CCDカメラで取り込まれた動画像データから抽出された軌跡(点列)を点列の移動速度や曲率などに基づいてセグメントに分割し,各セグメントの形状特徴を計算するプログラムを開発した。さらに,ジェスチャと対になる発話文の言語情報および脈情報とセグメントの形状情報や順序関係を統合することにより,ジェスチャの意味を解釈するアルゴリズムを提案した。また,システムが発話と並行して行うジェスチャの生成方式についても検討した。 3.個人同定ならびに表情認識のための顔領域検出 マルチメディアコミュニケーションの実現のためには顔の表情も重要な情報となる。そこで,目,口,鼻を顔領域の部分特徴と考え,これらの位置を高次局所自己相関特徴と線形判別法を用いて抽出するプログラムを開発した。顔領域を検出するにはすべての部分特徴が同時に抽出される必要があるため,部分特徴の空間的位置関係を適合度とした遺伝的アルゴリズムを適用して最適な部分特徴を探索した。実験の結果,正立平常顔で96.8%,変化顔で92%の検出率が得られた。
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