研究課題/領域番号 |
07680411
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
古川 康一 慶應義塾大学, 大学院・政策・メディア研究科, 教授 (10245615)
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研究分担者 |
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部, 専任講師 (60255601)
石崎 俊 慶應義塾大学, 環境情報学科, 教授 (00245614)
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キーワード | 言語獲得 / 外国語学習 / 機械翻訳 / 機械学習 / 認知心理実験 / 語彙学習 |
研究概要 |
本研究課題では、外国語、とくに英語の学習に焦点を当て、その困難性がどこにあるのかを認知科学実験を通して明らかにすることを目論んだ。その結果、数的な概念で数えられるもの、量的な概念で数えられないものの区別が言語に依存して異なってくることを明らかにした。また、それらの差異のパターンが被験者の年齢によっても異なってくることを見いだした。これらの違いは、概念把握に関わる脳のメカニズムが年とともに変質していくのではないか、ということを示唆している。これは、学習におけるバイアスの変化と捉えることができる。 また、日本語の語彙選択のベースとして、どのような語が互いに意味的な関連を持っているかを、日常における言葉の使用に関する調査から、明らかにする試みを行った。その調査のために、連想実験システムを開発した。被験者に刺激語を提示して、その言葉に関する上位概念、下位概念、同義語、反意語などを、答えて貰う、という方法を採用した。本調査の結果をまとめて、最終的には、翻訳に利用できるような類語辞典を作成することを目指しているが、本研究はその枠組みを与えるものである。 語彙学習メカニズムの計算機によるシミュレーションに関して、アブダクション機能を備えた帰納論理プログラミングシステムによって、それが一部実現できる見通しを得た。アブダクションは、通常の帰納推論と異なり、ルールを帰納的に推論するのではなく、与えられた例集合をルールによって説明する際に、欠落している背景的なルールなり、ファクトなりを推測して、提案するシステムである。この機能を用いると、例えば、言語的な知識の一部が欠落しているために、ある与えられた例文が正しく構文解析できない場合に、その欠落部分を補うことができる。現在、この機能は欠落知識が単一のルール、あるいはファクトの場合のみ、実現されている。
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