研究概要 |
今年度はまず,本研究の知識ベースとなる3次元画像処理手法を収集した.これには,既存の3次元画像処理ライブラリを利用したほか,そこに含まれていない新しい3次元画像処理手法も開発した.新らたに開発した手法には,3次元回転型2階差分フィルタ,3次元濃淡細線化,3次元鮮鋭化などが含まれる.次に,抽出したい3次元図形(3次元サンプル図形)の指定方法を検討した.3次元図形の指定方法としては,(1)各スライスごとに物体の断面領域を入力する方法,(2)各方向からの投影画像の上で対象となる物体の領域(シルエット)を入力する方法,および,(3)VR技術を応用して3次元画像空間の中で直接輪郭面を指定する方法,などを検討したが,最終的には上記(2)の方法に基づく指定手順を開発した.これは,各方向からの投影画像上で指定した2次元シルエットを3次元空間に逆投影し,それらの共通領域を求めることによって3次元物体を指定するものである.くぼみのない比較的単純な対象物体の場合には,上記方法は良好な結果を得た.また,くぼみのある物体でも,くぼみの部分を一つの物体として指定し,それを全体から引くことによって対象物体の指定を行えるようにした.次に,この方法で入力した3次元サンプル図形を用いて,3次元領域図形抽出手順を自動生成する実験を行った.これは従来の2次元画像に対する面図形抽出手順自動生成法の一部を3次元に拡張した方法を用いた.その結果,人工的に作成した3次元濃淡画像が対象であるが必要な手順の自動生成が基本的に可能であることを確認した. 来年度は,以上の成果に基づいて3次元線図形抽出手順自動生成法の開発とその人工画像を用いた評価,さらに,実際の3次元CT像への適用を予定している.
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