本研究は平成7年度及び8年度にわたって、コンピュータ支援協調作業に基づく電子図書館システムの研究を行った。電子図書館は大規模のディジタル情報を保持し、計算機ネットワークから利用されるため、従来の図書館とは資料形態及びサービス形態が大きく変化することになる。本研究では、電子図書館には利用者と電子図書館員の直接のコミュニケーションによる協調作業が需要であるという観点から、互いの顔を見たり、声を聞いたりするための画像音声相互同時転送機能および、1つのツールを同時に使用するための画面共有機能を持ったプロトタイプシステムを構築した。また、これら2つの機能を応用した電子図書館利用者環境を構築した。利用者はこの環境上で、電子図書館からの資料の取り込み、資料を利用した文書の作成・編集、WWWブラウザと連動したHTMLのタグ付け、WWWへの情報発信を行える。さらに、電子図書館資料の格納形式は、電子図書館の間の資料交換を容易にするSGMLが有効であると考え、電子図書館のためのDTD設計に関して考察した。本研究によって、電子図書作成、ネットワークレファレンスサービス、ネットワークナビゲーションパイロティング、協調検索、協調翻訳など、従来の図書館にはなかった電子図書館特有の新しいサービスが可能になった。
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