これまでに提案してきた「ウェーブレット変換による縮小画像と輪郭画像による統一的な画像検索原理」に基づいて以下の検索方式を検討、開発した。 本年度は、特に、背景画の削除・指定、検索対象オブジェクトの指定、などの検索意図をより適切に反映した検索入力画像の指定方式への対応に重点をおいた。本年度の主な成果は以下のとおりである。 1.ウェーブレット変換によって得られる縮小画像群と輪郭画像群から背景、テクスチャと対象とを分離する算法を開発した。112枚の民俗画像データに対して適用したところよい結果が得られた。本アルゴリズムは従来のテンプレートを用いる方式などに比べて計算の手間が格段に少ない。 2.ウェーブレット変換によって得られる縮小画像群と輪郭画像群に対して、種々の変換を施して検索者の意図に合った質問画像を構成する方式を開発しつつある。 3.画像データベース検索システムの試作。昨年度までの提案方式にによるウェーブレット変換を用いた画像データベース検索システムをワークステーション上に試作しつつなる。縮小画像、輪郭画像、部分画、劣化画像などを質問画像とする検索実験がウインドウ上でできるようになった。 4.歴史民俗資料カード(国立歴史民俗博物館所蔵)の日本古典絵画、文様、土器などの写真データベース(約10ギガバイト)のDATオートローダ上への移植バックアップ作業がすみ、本格的な実験のための準備が進んだ。
|