研究概要 |
今年度は,本研究を以下の二つのプロジェクトに分けて行った. 1.インターネット上の能動型情報提供システムの研究:この研究では,ネットワーク上での電子文書の流通を促進するための新たな枠組みの提案を行った.これまでも情報フィルタリングや選択的情報提供(selective information dissemination,SDI)など,情報の内容や利用者の嗜好を反映した情報の獲得,提供に関する研究は存在したが,本方式では,これら二つの方式を統合することにより,柔軟性の高い情報提供システムの実現の可能性を示唆した.すなわち,提案方式では,電子文書自体が情報流通の主体となり,能動的に情報提供者と利用者の間を選択的に流通する.この方式は情報フィルタリングやSDIの手法を統合したものであり,ネットワーク上に分散した計算機の能力を有効利用するという立場からみて,今後の実現可能性が高いアーキテクチャであると考えられる. 2・構造化文書に対するラッピング手法の研究:この研究では,特にSGMLを代表とする構造化文書情報源に焦点をあてた.ディジタル図書館などを含め,現在構造化文書の利用が急速に拡大しているが,一方で,ネットワーク上の莫大な情報資源を統合化したいという要求が現われている.このような統合処理を行うソフトウェアをメディエータと呼ぶが,メディエータが多様な情報源について,個々に情報のフオ-マットや問合せコマンドなどを把握するのは困難である.よって,情報源の内容を加工し,メディエータが理解可能なモデルに変換するラッパー(wrapper)というソフトウェアの必要性が叫ばれるようになった.本研究では,構造化文書を格納する情報源に対して,ラッパーを構築するためのツールキットの設計を行い,課題となる問題について議論を行った.
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