研究概要 |
平成8年度は発想支援グループウェア郡元(Groupware for a new idea generation support system)とマルチメディアコミュニケーションツールNetGear(鹿児島大学で開発)を用いて二人一組で分散協調型KJ法を900キロ離れた大阪大学と鹿児島大学間(遠隔実験)で9回,大阪大学内および鹿児島大学内(構内実験)で10回行い,その結果を比較した.これは,これからますますインターネットが普及,発展していけば,遠隔地にいる見知らぬ相手と一緒に知的生産活動を行う機会も増加すると考えられるので、構内で計算機を用いて行う知的生産活動と遠隔地間とでは何が異なるかを明らかにするためである.実験の結果,意見の数や島の数には差はないものの,島名文字数とまとめ文章の文字数とが遠隔地間での実験では多くなることがわかった. 計算機を用いて行われるKJ法は紙面上で行った結果と比較して一般に紙面上のその値を上回ることが少ない.つまり,その結果の文字数が多いほど良い結果であるので,遠隔実験の方が構内実験の結果よりよい結果が出たことになる.また,お互いのコミュニケーションに使われた音声を調べると,遠隔地間の実験の島名作成とまとめ文章作成段階ではCooperative Overlap Interruptionと呼ばれる熱中度の指標やJoint Productionと呼ばれる協調度の指標の値が大きくなっていることがわかり,熱中して,協調しながら実験を行っていることがわかった.今後実験を積み重ね,実験結果の内容を詳しく検討していくことが必要である.
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