研究概要 |
平成7年度に行った大学図書館を対象とした調査では,図書館数で約7割の図書館がOPACを導入しており,OPACを使っている大学では,全体の15%にはカード目録はなく,6割がカード目録を凍結していた。全てのカード目録を維持していたのは,10大学の図書館に過ぎなかった。このように,日本の図書館からは,カード目録は急速に消え去りつつある。目録の電子媒体化は,MARCに始める目録作成過程の変貌の帰結である。 電子化されることにより,情報検索システムと融合することになる図書館目録は,新しい可能性を持っている。現在,必要となっているのは,図書館目録が生き残るとして,どのような将来像がありうるかを考えることと,それを実現するためには,目録の基盤となるものをどのように整備していくかについての議論である。現行の検索環境では,OPACにより提供される図書館目録データベースと雑誌記事等の各種のデータベースの検索とは切り離されている。利用者は,それぞれの特徴とシステムと利害得失を理解した上での使い分けを強いられている。一つの改善は,これらに統一したインターフェースを与え,一括して検索できる環境を整え,主題別,資料別のデータベースの検索結果を目録データベースとリンクさせ,所蔵を確認できるシステムとすることである。さらには,集中目録作業,分担目録作業を拡大し,その対象を図書や逐次刊行物など既存の対象から拡張して,あらゆる資料についての統一したデータベースの作成作業に取り組むことが考えられよう。個々の図書館は,このデータベースに所蔵記録を付け加えることになる。現在の書誌ユ-ティリティにおける総合目録の拡大版である。現在でも,総合目録があれば,個々の図書館が実体として目録を持つ必要はないのである。しかし,この方式を実現するには,共通の記述規則,索引法,語彙等を開発しなければならないであろう。
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