| 研究概要 |
本研究では,6年度までに,条件/事象ネット(プレースの容量が1のペトリネット)に対して,それのアクティビティなるもの(そのネットから定まる一つの半語の集合)を考え,“仕様として与えられた半語の集合に対して,アクティビティがそれと一致するような条件/事象ネットを求めよ"という合成問題を定め,それが解をもつための条件と一つの解法を示した.
7年度では,上の結果をもとに,条件/事象ネットとプレースの容量が有限のペトリネットに対して,それぞれ次のことを行った.
1.条件/事象ネットに対して.まず,与えられた半言語に適合するアトム(これは上記合成問題の可解性の検討に関連して導入された概念.)全体の集合を求めるアルゴリズムの開発を行い,次に,これを応用して,合成問題の解全体の集合を求めるアルゴリズムの開発を行った.さらに,仕様が階層構造をもつ形で記述される合成問題を考え,それの可解性と解法に関する検討を行った.
2.プレースの容量が有限のペトリネットに対して.条件/事象ネットについて考えたと同様の合成問題を定めるとともに,それが解をもつために仕様が満たすべき条件について考察した.結果の要点は次の(1),(2)の通りである。.
(1)同じ事象が並行的に生起することが仕様に含まれない場合.この場合には,ペトリネットの合成問題が条件/事象ネットの合成問題に帰着されること,すなわち,条件/事象ネットの合成問題が解を持たなければ,どんなペトリネットも解にはなり得ないことがわかった.
(2)同じ事象の並行的な生起が仕様に含まれる場合.この場合については,ペトリネットの合成問題が解を持つための2つの必要条件を導いた.
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