顔画像による個人識別の自動化のためには、顔画像の認識に先立って画面内から顔の位置を正確に見つけ出す探索処理が必要である。そこで、画面内の任意の位置にある任意の向きの顔の自動探索を本研究の目的とした。任意の位置とは、画面内の上下左右ならびに前後の位置を、顔の向きとはカメラの正面方向あるいは上下左右への顔の向きを意味する。しかし、探索を最も困難とするのは、見え方が変わるため形状自体が変化する顔の向きである。そこで、今年度は、正面顔との差異がそれ程大きくはならない範囲の顔探索を目標とした。以下の通り実行し目標をほぼ達成した。 1.はじめに、男女各10人の正面ならびに上下左右15°以内の向きの顔画像をビデオカメラで撮像した。 2.各顔画像中心部を粗く4x5で濃淡モザイク化し、各方向ごとに方向顔を代表する探索用辞書として正面と上下左右7.5°、15°の全9種類用意した。 3.未知画像をカメラ入力して計算機に取込み、画面を走査しつつ上記辞書を用いて探索した。このとき、未知画像の解像度を連続的に変えて多重解像度探索を行った結果、任意の位置にある顔の探索を可能とした。 4.9種の方向顔の辞書を用いたが、正面顔との差異がそれ程大きくはならない範囲の顔探索においては、殆どの場合、正面顔辞書のみが用いられることが分かった。これに対し15°を越えると別の辞書に反応するが詳細は次年度の検討課題である。 5.以上の成果とその応用について、電子情報通信学会の研究会、ならびに同総合大会で口頭発表を行った。このため表示画面のハードコピーをカラープリンタに出力し発表に用いた。
|