顔画像による個人識別の自動化のためには、顔画像の認識に先立って画面内から顔の位置を正確に見つけ出す探索処理が必要である。そこで、画面内の任意の向きの顔の自動探索を目的とし顔の向きを昨年度の上下左右15゚までから、上下20゚、左右50゚まで拡張して探索可能性を検討した。また、画面内から複数の顔の探索法についても検討した。 具体的には、以下の通り実行し目標をほぼ達成した。 (1)男女各10人、計20人の正面ならびに上下20゚左右50゚以内の向きの顔画像を5゚おきに、即ち一人あたり189方向の顔をテレビカメラで撮像しファイル化した。 (2)多数の正面顔画像の両目を含む小領域を8x3で濃淡モザイク化し、簡単な分類の後、複数の探索用辞書を選定した。昨年は頭部を4x5モザイクで探索したが、本年度は方向顔探索の検討に特化するため、直接、両目小領域を探索対象とした。 (3)前記(1)の方向顔画像を計算機に取込み、画面を走査して上記辞書(2)を用いて探索した。この結果、正面顔から得た辞書のみで、上下20゚左右25゚以内の向きの広範囲の顔探索が上記の20人について100%可能であることが判明しした。 (4)さらに個人識別に向け、位置決め、ならびに識別について検討を行い、やはり上記20人について、位置決めは上15゚下20゚左右20゚以内、識別は上10゚下15゚左右15゚以内と次第に狭まるもののそれぞれ100%可能となり、実用的には十分な範囲の方向顔の探索・識別が可能であることが分かった。 (5)以上の成果について、平成8年12月のTV学会ならびに平成9年3月の電子情報通信学会で口頭発表を行った。 (6)一方、画面内の複数の顔については昨年の4x5による頭部探索に加えて顔の対称性と明暗部比などの条件を適用し4〜5名の顔の探索を可能とした。
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