研究概要 |
申請者らは,半構造化データに対する利用者の作業モデルを考察し,それをもとに基本的な次の段階的な構造化操作,(1)データの意味のある単位の発見的な認識,(2)オブジェクトの同定,(3)オブジェクトへの属性情報の追加・変更などを実装した研究支援システムを実験的に構築した. また,半構造化データの構造化における利用者の視点をデータベースに格納し,様々な視点からオブジェクトを効果的に操作するデータモデルである視点付きオブジェクトモデルを提案した.このモデルをもとに,視点に依存した属性/属性値付け機構を持つシステムを実現した. 次に,視点の概念を再検討する為,分散環境における半構造化文書の完全化システムの枠組みを検討し,実験システムを構築した.ここでは,不完全な文書データ,即ち,文書間のリンク生成に必要な部分情報のみを付与した文書を想定し,文書相互を半自動で関連付けし,段階的にリンクを生成しながら完全なwebを構築する為の枠組みを提案し,実験システムを構築した. また,オブジェクトモデルを整備する目的で,以下の点について実現した. (i)実行時生成オブジェクトの分類機構の基本的枠組みを検討し,実装した. (ii)実行時生成オブジェクトとして視点を定義した.また,視点集合に2種類の階層を導入した. (iii)実行時に生成される集合オブジェクトとして,集合の外延的表現と内包的表現を実現した. (iv)視点付きオブジェクトモデルを適用する代表的な局面である半構造化情報の段階的構造化の為の基礎データとして,約10,000点の歴史資料の文字データ,画像データ,索引情報などを電子化した.これらは代表的なデータとして,今後のモデルの有効性の検証に用いられる. (v)更に,視点付きオブジェクトモデルの段階的分類法として,カテゴリーの挿入,カテゴリー統合などについて検討した.
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