本研究課題の最終年度であり、確信に基づく人間側の主観的評価を積極的に取り入れたヒューマン・マシン協調型監視システムのモデルを精緻化、時間制約を取り入れて確信への影響、人間信頼性の観点を加味して解析した。この結果、ヒューマン・マシン協調型が完全自動化に優る場合の条件付けができた。 また、グレイゾーンの減少化が不確実性の削減にどの程度有効であるかについて考察したが、むしろ、グレイゾーンの積極的な利用が効果的で重要であることが明らかになった。設備管理における状態監視保全や製品安全設計では、グレイゾーンを明確化することこそが重要であり、それを利用した安全保障設計やマニュアル作成法などを提唱した。 本研究は、ヒューマン・マシン協調型の監視システムとして確立するための基礎理論作りが本研究の中心であったが、グレイゾーンでの情報導入という観点では、情報を加える主体が人間であることに限定する必要はない。そこで、グレイゾーンを感知できる移動可能なセンサで構成された移動型安全監視システムを考え、自動化システムでのグレイゾーンの利用効果を考察した。移動型安全監視システムでは、あるセンサがグレイゾーンを検知したとき、周囲の複数センサを集合させ、それらセンサの総合的判断で状態を判定する。この方法により少数のセンサで高信頼度の監視が可能となることをシミュレーションで確認し、グレイゾーンの有効性を確かめた。
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