複雑な経済・生態系の動態(ダイナミックス)のモデル化を計算機模擬(シミュレーション)を用いて解明するには、どのような機能が必要なのかをこれまでの複雑系力学、生態系理論や実験経済学の成果を検討し、下記のような項目の研究とモデル化支援システムの開発を進めた。 1)大規模な経済・生態系の動態(経済主体の経済活動と自然生態系の生物・資源の相互作用)の計算機模擬を行うために、これまで発展してきた実験経済学の手法やゲ-ミングなど参加型社会工学的な実験の調査を行い、その手法の妥当性と計算機模擬への適応性の検討や追試をおこなった。 2)多数の経済主体が参加する複雑系の構成要素とその機能を明らかにし、それぞれの主体の目的、選好、行動等をオブジェクト化し、どのようなメカニズムや秩序が発生してくるのか、そり均衡と安定性についていくつかの実験シナリオの設計を行った。 3)経済系や生態系の機能を多領域知識から構成された深い知識(専門知識)と考えて、これらを複合対象モデル(経済・生態系モデル)として記述するソフトウエアの枠組みを設計した。また、高性能のワークステーションでその機能の計算機シミュレーションが遂行できるようなプログラム開発と計算機への実装を部分的に行った。
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