本年度は、人間機械系における人間と機械の状況依存型モデル表現法とそれに基づく事項発生系列の導出法を開発した。まず、人間と機械の間の依存関係を表現するため、両者の相互作用を明確にして考慮すべき因子の抽出を行った。相互影響因子を人間あるいは機械に対する外部環境からの入力とみなして、それぞれの行動モデル表現を導出した。機械は、If(条件)Then(行動)のような形の条件行動ルールで記述できる。機械の故障挙動も、その正常時の関係から逸脱した関係で同様に表現できる。しかし、人間は必ずしも機械と同様な決定論的な関数的には表現できない。人間特有の過去の履歴の影響や状況に応じた人間の情報処理形態の変化を考慮する必要がある。そこで。状況に応じて選択する行動規範やルールを切り替える形で表現すると、機械と同様なIf(条件)Then(行動)のような形の条件行動ルールの集合で表現できた。それぞれの行動モデルを用いて、初期状態から人間と機械モデルを相互作用させながら行動ルールを発火させることにより、人間の行動特性に基づく応答系列を(全体の状態、人間行動)の対として導出した。また、認知工学的知見を考慮した、人間機械系の事故防止策を検討に関しては、ヒューマンエラーを単なる過ちとはみなさないで人間の行動特性や情報処理特性から必然的に生じたものと考えて、その特性限界を補うにはどのような因子を考慮すべきかについて認知工学における研究を調査した。さらに、防止対策を総合的に検討するシステム工学的な枠組みについても検討を行った。
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