平成7年度の研究においては、日本経済の国際化・グローバル化をハイテク技術開発体制の構成とその基盤整備という視点から数理経済分析をすすめてきており、国際産業関連表によるアジアと日本との経済的連関について計量分析を実施した。また、方法論として動的計画法を中心とした動学的最適化手法の理論的整備を行ってきた。 この結果、日本経済の国際化、国際関係を投入産出構造への動学モデルの導入により解明する方法を基本として解析をすすめることができるとわかった。国際産業連関表を基礎として、各国の国民経済レベル、産業政策についての数理モデルを推定し、ダイナミックスとして統合的に記述する方法論を開発できる見通しを得ている。全体を動ファジィ環境下における動的計画問題と記述し、最適化の視点から、不変埋没原理を応用してその最適解の構成をおこなってきた。 1)平成7年度の研究内容については、ほぼ計画通りに進行していると言える。方法論としては、データベース作成、統計解析やモデル構成のためにワークステーション、増設ディスクを利用してきた。今後、このモデルの頑健性、感度分析を進める見通しである。 研究推進の上で今後の問題としては、 2)経済発展、国際関係に含まれる不確実性を確率過程により定式化する方法論を開発し、数理モデル解析における不完備情報の整備をはかっていく。産業連関データや各種の経済データについて統計的手法を基礎としながら、その整合性や補間の作業をすすめる(岩本、中井)。 3)産業連関表データ、国民経済データなどに必要なデータを管理するシステムを開発し、このソフトウェアとして動学モデル解析システムを組み込む。さらに、ダイナミックスをより説得力あるものを表現するための各種グラフィックスを開発する(時永)。
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