研究概要 |
近年,製品はますます高度化が進み,その使用環境は多種多様になり厳しさも増している.したがって,製品の企画・設計段階における品質管理あるいは信頼性や安全性の十分な検討は必要不可欠な問題である.さらに,平成7年7月からPL(製造物責任)法が施行されたこともあり,品質保証はますます重要となってきた. これらについて企画・開発・設計の段階などで検討するときには,どうしても少ない情報から製品寿命など対象とする製品の特性を推測しなくてはならない.いわゆる少数データにより母集団の様子を知ることが必要になる.しかし,信頼性寿命試験などの解析を行う場合には,その対象自体の発生頻度が少ない場合もあれば,時間的あるいは費用の制約からデータ数が少なくなる場合が多い.さらに得られたデータの中には異常値や異なる母集団からのもの(外れ値)を含む場合も少なくない.本研究ではこのような条件における製品の寿命予測や環境・安全問題を論じ,精度の良い分布の推定方法などについて研究している. 今年度は研究計画に従い,実用面を考慮した研究を目指し,加速寿命試験法を例に応用的研究に取り組んだ。具体的には,ストレス-寿命モデルとしてInverse power modelとArrhenius modelを,個々のストレスレベルにおける寿命分布にワイブル分布をそれぞれ仮定し,ワイブル母数の推定に関して,個々のストレスレベルにおけるデータ数が異なる場合の最尤推定量,さらにモーメント法による推定方法を提案した.そして,データ数が少ない場合について提案の方法と従来の方法による母数の推定精度を比較検討した.その結果,提案の方法が他の方法に比べ簡便で,かつ精度の良い推定法であることをシミュレーションより確認した. 今後は,さらに実用性や経済性効率および推定精度,さらに各推定法の選定方法などの点から総括的に検討する予定である.
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