欧米を中心にして、先端生産システムにおいて、CIMからアジャイル・マニュファクチャリングへとパラダイムシフトは発生している。しかし、人間の役割はロボットが行うことのできない作業すなわち頭脳を使用しない単純作業と頭脳を使用しなければならない意思決定作業のような創造的作業とに2極分化され、その間の作業は自動機械が行うようになってきている。設計者の知識に基づく先端設備診断用エキスパートシステムのためのプログラム、すなわち、知識獲得用プログラム、SDM(システム診断用モジュール)の推論プログラム、UDM(ユニット診断用モデュール)の推論プログラムが完成し、エキスパートシステムのシェルが構築された。アジャイル・マニュファクチャリングを考えると、作業の2極分化の一方である、ごく単純作業に対する人間の負担に関しても研究を行っていく必要がある。おもに肉体的負担となるが、腰痛の問題、また、それを防止するための支援装置の開発が必要となる。最も大切なのは作業姿勢と腰痛との関係を明らかにすることである。一方、先端生産システムにおける作業者のヒューマンストレスのメカニズムを明らかにするために、固体に外力が加わった場合の力学的挙動と人間が刺激を受けた場合の比較検討を行った。また、高齢者用のエキスパートシステムを作成するために、知識獲得用プログラム、SDM(システム診断用モジュール)の推論用プログラム、UDM(ユニット診断用モデュール)の推論用プログラムを完成した。しかし、企業からデータを提供してもらい、現場での設計過程を分析して、設計過程の知識がどこから獲得され、また、その知識がどのように情報化されるかを明確にしなければならない。
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